2018年1月24日水曜日

『超・反知性主義入門』を読んだ。今の日本人に必要な考え方!



『超・反知性主義入門』をKindleで読みました。
2015年に発行されている本で小田嶋隆さんで、『ひきこもり系コラムニスト』と紹介されています。


超・反知性主義入門
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昨今の芸能人不倫報道や小室哲哉の案件に対する国内の雰囲気に辟易としている私にとって、非常に良いタイミングで読んだな、と思いました。

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内容

著者が日経ビジネスオンライン書かれていたコラムをまとめたもの。

そのときどきの事案に対して、著者の考えを記したものでした。

それに加え、森本あんりという『反知性主義 アメリカを動かす熱病の正体』の著者との対談も最後に載っています。(←これがだいぶ(・∀・)イイ!)

反知性主義とは

『反知性主義』とは

知性を否定することではなく、既存の知性に疑問を抱き反逆すること

と理解しました。

決して、知性事態を否定するものでは無く、いわゆる『バカ』を推奨しているものでも無い。

最近のSNSによる過剰なバッシング

以前の知性とは、おおむね学校や、会社、およびマスコミによって強化されたり、そのコミュニティの中で醸成、発揮されるものでした。

それが、インターネット、およびSNSの進歩発展により、どこでも誰でもその知性を発信することが可能になりました。


で、今どうなっているかというと

出る杭であったり、自分の生活に影響のない他人のスキャンダルであったり、いろいろなものにその知性の発信がなされています。

最近でいう知性は『思ったコト』と言い換えてもいいかもしれません。


以前は【知性=思ったコト】ではありませんでした。


何かの事案に対して、なんらか思うところがあっても、すぐに発信する環境がないため、身近な人にだけ共有したり、もう一度考えたり、場合によっては時間が経って忘れたりしていました。


ところが、今は思ったらすぐに発信可能です。

さらに、それに賛同する人もすぐに現れます。

これは、【思ったコト】がそのまま【知性】になってしまっている状態です。それで世論や社会形成されるのだから。


ここで1つ本文から引用します。 ※改行は句点ごとに私が挿入

善悪や正邪とは別に、「本音」と「建前」という座標軸が現れた時、無条件に「本音」を神聖視する考え方が力を持つに至る。
と、ここにおいて、「露悪的な人間ほど信用できる」という倒錯が生じる。
つまり、より残酷で、より差別的で、より無遠慮で、より助平で、より欲望丸出しなご意見を申し述べる人間だけが「本当のことを言う人」として信用される、黒魔術の秘密結社みたいなものが誕生するのである。

つまり、深く考えず、思ったコトをそのまま言うのが正しいという空気があります。

そして、そのまま言わず、何かに配慮することを『忖度』と揶揄され、馬鹿にされます。


これが、週刊誌→ワイドショー+SNS→バッシングという悪い流れを助長していると考えます。

『お花畑』の重要性

本書は、冒頭に紹介したとおり、著者の今までのコラム集である。

色々な事案について、著者の考えが記されているが、だいたい「私もそう思う!」というものでした。


たとえば、『お花畑』の大事さ。

『お花畑は沈黙すべきか』2015年1月30日のコラムがある。

過激派組織ISILによる日本人ジャーナリストの拘束の件について書かれているもの。

いくつか、キーセンテンスを抜粋しようと思う。 ※改行は句点ごとに私が挿入

『ゴルゴ13』のようなハードボイルドな物語の中では、どんな場合でも、常に、より「冷徹」な人間が勝利をおさめることになっている。
冷徹で、冷酷で、冷静で、断固としていて、決然としていて、狡猾で、残酷で、無表情で、目的のためには手段を選ばず、手段のためには生命を惜しまない、非情で非人間的で正確無比なプロと、臆病で、決断力に欠けていて、甘ったれで、生ぬるくて、涙もろくて、情にとらわれやすい、お花畑の人間が戦うケースでは、必ずや前者が勝利する前提でプロットが組まれている。

しかしながら、いい大人が、「冷徹」一点張りなのは感心しない。
というよりも、戦場のルールやテロリストの世界観を、われら一般人の暮らす日常の世界に持ち込まれるのは迷惑だ。

あらゆる人間が断固たる生き方にシフトチェンジしたら、世界はどこまでもハードボイルドになって、あらゆるルールが戦場ルールにとって代わられることになる。
そうなっては困るのだ。
というのも、われら一般人の幸福は、決断力を欠いた人々がだらだらと逡巡を繰り返しているぬくぬくのお花畑の中でしか育たないものだからだ。

「テロリスト」や「戦争」が動いている命がけの世界に惹かれる人たちがいることは確かだ。
これは、どうしようもないことなのかもしれない。
私のようなその種の剣呑さが大きらいな人間でさえ、「非情」で「冷徹」な男の世界に魅力を感じること自体はいかんともしがたいわけで、だからこそ、テロリズムは結局のところ有効なのだ。

全世界がお花畑になったら、それはそれで困るのだが、こと平和主義を謳う日本においては、ある程度お花畑を維持する必要があると思った。

そうでないと、人が人を攻撃することは無くならないし、命を奪うこともなくならないし、内線もなくならないし、戦争もなくならないし、ミサイルも核兵器もなくならない。


少し話は逸れるが、2018年1月24日現在の外務大臣である河野太郎さんの対応は、私は支持している。
「日本だからこそできることがある」と言って、中東諸国訪問したりしているコトが特に。

おわりに

本書は、コラム集なので、つまり一章読み切りなので、スキマ時間にも非常に読みやすい本でした。

また、最近の日本の風潮に対して、やはり疑問を持って、きちんと考えて物事を語ったり勧めたりすることが大事なのだと思いました。


この本、オススメです!ぜひ!!


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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↓今度こちらも読んでみたい。

反知性主義―アメリカが生んだ「熱病」の正体―(新潮選書)
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↓これは以前に読んだ。こういうコトも大事なんだろうなぁ。

自分のアタマで考えよう――知識にだまされない思考の技術
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